経絡治療が効果的な理由とは?【鍼灸師が解説】

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経絡治療

「鍼灸って本当に効果があるの?」そのように思われている方も多いのではないでしょうか。

病院に行ってもなかなかよくならない症状や、毎日たくさんの薬を飲み続けていることにお悩みの方は多いでしょう。そのような場合に鍼灸をひとつの選択肢として試してみたい方もいらっしゃるでしょうが、鍼灸になじみがない方にとってはさまざまな不安を感じて当然です。

本記事では東洋医学の本質である経絡治療(けいらくちりょう)について詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

「経絡治療とは?」特徴や一般的な鍼灸との違い

お灸施術

経絡治療は、鍼灸の中でも特に高度な技術を必要とする手法です。そのため、病院や一般的な鍼灸では改善できない慢性病や難病にも高い効果が期待できます。

まずは経絡治療の特徴や一般的な鍼灸との違いをみていきましょう。

経絡治療の特徴

東洋医学では「火のないところに煙は立たない」という考え方があります。身体に出ている症状、いわゆる煙だけを追いかけるのではなく、根本原因(火)にも着目してアプローチを行うのが経絡治療です

経絡治療

経絡とは「ツボの道」のことを指します。私たちの身体にはそれぞれの臓器とつながったツボの道があり、この道が乱れることであらゆる不調が生まれます。

例えば肩こりで来店した方に対して、肩には1本も鍼を打たずにアプローチを行うことがあります。その理由は、肩こりは胃腸の不調や血行不良が原因となっていることが多いため、根本にある問題から取り除かない限りはお悩みの症状が改善しないと考えているからです。

「なぜ症状がある部分に鍼を打たないの?」と思われるかもしれませんが、この身体全体に着目したアプローチ法こそが「経絡治療」なのです。

一般的な鍼灸との違い

はり施術

「鍼灸ってどこで受けても同じじゃないの?」そのような声をよく耳にしますが、実際には鍼灸院によって考え方も技術も大きく異なります。特に、経絡治療は東洋医学の本質に基づいた高度なアプローチで、ただ肩にを打つだけの手法とは根本から異なります。

全国に存在する鍼灸院の多くが、肩こりなら肩、腰痛なら腰というように、症状がある部位に直接鍼を刺す「局所治療」を行っています。

もちろんその手法で一時的に痛みが和らぐ方もいらっしゃいますが、根本的な原因にアプローチしていないため、すぐに症状が再発してしまう方がほとんどです。

部分治療では改善しない

施術風景

当店に来られている方は、単に肩がこっているだけではありません。他にも胃腸が弱い、足が冷える、頭痛がある、生理痛がある、皮膚が乾燥しているなど、さまざまな症状をお持ちです。そのため、肩こりだけにアプローチしても全身の不調を取り除くことはできず、また同じ症状に悩まされることになってしまいます。

経絡治療では身体全体のバランスを整えることを目標として施術を行います。根本原因である「火」を見つけて正しいアプローチを行うことで、症状の一つひとつが改善していくのです。

鍼とお灸の違いは?

もぐさ

鍼灸はその名のとおり「鍼」と「お灸」を行うアプローチ法ですが、それぞれ何が違うのかよくわからないという方も多いでしょう。

「補う」と「取り除く」

疑問

実際に、お客様から「鍼とお灸って何が違うの?」とよく効かれます。

簡単に言えば、鍼は過剰なものを「取り除く」、お灸は足りないものを「補う」ことを得意とする施術方法です。例えば、体力が落ちていて冷えが強い方にはお灸がおすすめですが、炎症や痛みが強いときには鍼を使った方がよいでしょう。

当店では鍼7割・お灸3割のバランスで、双方の利点を活かしながらアプローチを行っています。

東洋医学が重視する「働きの回復」

説明

東洋医学は、病気の原因やアプローチに関する考え方が西洋医学とは異なります。

西洋医学とどのような違いがあるのかを知っておくことで、病気に対する考え方が変わるかもしれませんね。

病気本当の原因とは?

男女の人体

病気が目に見える「形」として現れる前に、体内では必ず「働きの乱れ」が起こっています。

子宮筋腫を例に挙げてみましょう。現代医学では「できてしまったもの」に対して経過観察や手術を行いますが、なぜ子宮筋腫ができてしまったのかまでは断定できないことが多いです。

東洋医学では症状が形になるずっと前から、冷え、乾燥、痛みなど、さまざまな不調が積み重なっていると考えています。それを鎮痛剤でごまかし続けると、やがて「形」として表れてしまうのです。

東洋医学は筋トレと同じ

筋トレ

「東洋医学は効き目が遅い」と思っていませんか?

確かに、1回の施術で劇的に改善することは少ないかもしれません。しかしそれは「身体の機能を高めて、自然に回復する力を引き出す」という、根本的ななアプローチをしているからです。

これはまるで筋トレのようなものです。一回鍛えただけでは筋肉はつきませんが、数週間、数ヵ月と続ければだんだんと身体が変わっていきます。

東洋医学も同じで、血液の質が変わるまで約120日とされており、最低でも3~4ヶ月で身体に大きな変化が現れると言われています。

西洋医学と東洋医学の補完関係

東洋医学

西洋医学は、レントゲンや血液検査を用いて「形の異常」を見つけるのが得意です。一方、東洋医学は「働きの異常」に着目します。

どちらもよい部分・悪い部分があるため、必要に応じて使い分けることが大切ですね。目に見える異常がなくても、「なんとなく調子が悪い」「何年も原因不明の不調が続く」という方は、東洋医学も視野に入れてみてはいかがでしょうか。

【動画解説】当店の鍼灸について

※施術効果には個人差があります。

おわりに

鍼灸施術

東洋医学は、身体の働きを見直し、整え、結果として病気を未然に防ぐことができます。

「薬で症状を緩和するのではなく、身体を根本から変える」これこそが東洋医学の本質です。

現代医学に比べると効果が出るまでに時間がかかるかもしれません。しかし、見えないところで着実に一歩一歩前進し、将来的に健康な身体を手に入れられるでしょう。

「本気で改善したい」このようにお考えの方は、ぜひ東洋医学もひとつの選択肢として考えてみてくださいね。