鍼灸院にも種類がある?

鍼灸院の選び方

東洋はり灸院グループ 統括院長の石丸です。

今回は「鍼灸院の種類」についてお話ししたいと思います。

鍼灸院は同じではない

疑問

鍼灸院には非常に多くの種類があります。一般の方は「全部、一緒じゃないの?」と思うかもしれませんが、実は恐ろしいほどの違いがあります。

たとえるならば、ラーメン店ほどの違いがあります。ラーメン店は味噌、塩、しょうゆなど、そのお店ごとにかなり味に違いがありますが、鍼灸院はそれ以上に違うかもしれません。

鍼灸院と一言でいっても、その鍼灸院によって理論や使うツボ、道具もまったく異なります。道具については鍼の深さや本数、刺激量、さらにもぐさの種類などもすべて違います。ラーメン店でいうならば、具材やレシピがまったく違うわけです。

「鍼灸専門」と「鍼灸+α」

鍼灸

このようにまったく異なる鍼灸院ですが、鍼灸院は主に「鍼灸専門」「鍼灸+α」の2つに分けられます。

鍼しかしない鍼灸専門に対し、鍼灸+αにはたとえば下記のようなものがあります。

  • 鍼灸+マッサージ
  • 鍼灸+カイロ
  • 鍼灸+整体
  • 鍼灸+〇〇 など

この2つを割合でみると、鍼灸専門は鍼灸院全体の約2~3%です。美容鍼や不妊鍼灸を含むと5%ほどになりますが、「体を改善するんだ!」という鍼灸治療院は約2~3%でしょう。そして残りの97%ほどが鍼灸+αということになります。

当院は鍼灸専門院とうたっていますが、開業から20年間鍼灸しか行っておらず約2~3%の鍼灸専門に属しています。

まったく異なる鍼灸院

マッサージ

われわれが勉強している内容の創設者である福島弘道先生は、鍼灸専門に行っている生徒と鍼灸マッサージを行っている生徒を勉強会では分けたそうです。鍼灸マッサージの生徒には「マッサージをやらないと食べていけないのか!」と言い、「鍼灸だけで戦っている鍼灸専門の生徒はあなたたちとは違う」と明確にしました。

私はこのような流れで鍼灸師になっているため、鍼灸+αには非常に抵抗があります。もちろん鍼灸+αによって改善されるケースもあるとは思いますが、+αの方がメインとなっている鍼灸院もあるわけです。

われわれ鍼灸専門家としてはマッサージや整体をメインに少しだけ鍼を施しているような鍼灸院には「あなたたちが施している鍼はわれわれの鍼とは違うから!」と言いたくなってしまいます。

寿司職人と回転寿司職人

寿司職人

これは例えると寿司一筋で頑張っている寿司職人が回転寿司の寿司職人と一緒にされて怒るようなものです。「機械が握ったシャリに学生がネタを乗せているだけで、それは寿司ではない!」と言いたくもなるでしょう。

このように寿司であれば皆さんも理解できると思いますが、鍼灸院の場合は多くの人がよくわからないと思います。だからこそ鍼灸専門ではない鍼灸院まで鍼灸院だと思われると鍼灸専門家としてはよい気がしないわけです。

少数派の鍼灸専門院

鍼灸専門

世の中の鍼灸院は鍼灸専門と鍼灸+αに分かれますが、鍼灸専門はその内容からさらに4つに分けられます。この時点で世の中の97%ほどの鍼灸院とは異なる鍼灸院になります。

1つ目は日本伝統鍼灸であり、私が実践しているのはこの日本伝統鍼灸です。2つ目は中国鍼です。中国ばりを使用し、中医学をベースとした鍼灸施術を行います。3つ目は西洋医学的鍼灸ですが、私はあまり好きではありません。4つ目の美容鍼不妊鍼灸は近年市民権を得てきている鍼灸です。これに対してはニーズがあり、そのニーズにきっちりと応えているのであれば私はよいと思います。とくに日本は現在、少子化が進んでいるので、どんどんと活躍していただきたいと思っています。

もちろんこの4つの中にもそれぞれ流派等の違いがあり、私が実践している日本伝統鍼灸も細かく分けるとその中身は多岐にわたります。

鍼灸専門と鍼灸+αは同じではない

鍼灸施術

鍼灸専門で行っている私としては鍼灸+αの鍼灸院とは一緒にしてほしくないと思っています。それは先ほどもお話ししたとおり、免許は同じでも寿司一筋の寿司店と回転寿司ではまったく違うからです。

鍼灸+αでも「本気で改善する!」と考えているのであれば握手をしたいと思っています。しかし、そうではなく慰安行為の延長のような鍼灸院はどうかと思います。そのようなニーズがあるのなら結構ですが、きちんとニーズに応えてほしいと思います。改善してほしいと思い、困っている人に対しては本当に改善してあげてほしいわけです。

私は本当に鍼灸に人生、命をかけています。よく「鍼灸で改善されなかった」「鍼灸では改善できない」と言っている人がいますが、私としては「それは回転寿司に行ったからなのでは?」と思ってしまいます。「その人は本当の寿司を食べていますか?」「ぜひ当院に連れてきてください!」という気持ちになるわけです。

いずれにしても鍼灸師としては同じ免許なのでみんなで頑張っていきたいと思っています。

金儲けの鍼灸院は同業者ではない

拝金主義

また、町田本院に来院される患者様からはよく「ここは激戦区ですね!鍼灸院だらけで同業者がいっぱいじゃないですか」と言われます。しかし、私はいつも「まわりの鍼灸院と免許は一緒でもまったく同業者だとは思っていないんです」とお話ししています。免許は同じでも行っている内容が違いすぎるので、正直なところ私は同業者だとは思っていません。

私は患者様のために、患者様減らし・医療費減らしのために一生懸命な鍼灸院とは一緒に握手をして取り組んでいきたいと考えています。しかし、回数券や物販ばかりで金儲けの手段としている鍼灸院が非常に増えてきています。10年前の鍼灸院は腕一本で勝負していたはずですが、近年は金儲けの道具としか考えていないところが多すぎます。

ぜひ本当の鍼灸を

石丸院長の説明

世の中に鍼灸院は多くありますが、その中身は大きく異なります。本当の寿司が食べたければ寿司一筋の寿司屋に行くことをおすすめします。鍼やマッサージ、整体、アロマなどを雑多に扱っている鍼灸院は本当の鍼灸とはいえません。もし鍼灸施術を受けてみたいと思う人は、ぜひ鍼灸に命をかけている鍼灸専門の鍼灸院を選んでみてください。

私としては「鍼灸では改善されなかった」と言われると、「回転寿司の寿司がおいしくなかった」と言われているような気持ちになります。本当の鍼灸を受けたうえで「本当に鍼灸では改善されないのか」を考えていただきたいと思います。

世の中の鍼灸院は同じではありません。すべてにおいて驚くほど異なるので、この点を認識していただきたいと思います。